「こだわり」と「折り合い」
安く注文
同じ規模の住宅で同程度の設備を備えるとの条件で比較すれば、1軒建てるのに必要な金額は「分譲住宅<注文住宅」であるのは間違いないでしょう。 そのことから注文住宅は高額で贅沢な家だと決め付ける人がいますが、それは間違った認識ですので今すぐ改めたほうが身のためです。 なにもオリジナリティー溢れる贅沢さだけが注文住宅の持ち味ではありません。逆に安さに特化した注文住宅だってあるということを知らなければ、真の住宅博士とは呼べませんし誰にも呼んでもらえませんし尊敬もされなければアドバイスを求めにくる人も年にひとりかふたりでしょう。 分譲住宅よりも簡素な設計で質素な設備を注文すれば、世界で1軒しかない自分だけの格安な注文住宅を作り上げることもできるのです。 高くなるように注文するという発想を捨てて、安くなるように注文することを念頭に置いて設計を進めれば分譲住宅以下の金額で注文住宅を手に入れることもできるのです。
こだわりたい部分
注文次第で費用をかけることも削ることも出来る注文住宅ですが、全てを削ってギリギリの最低価格を狙う人もいれば、こだわり抜いて信じられないような金額を思いもよらない設備に注ぎ込む人もいます。
どうしてもドラえもんみたいに押入れで眠りたいから、予定ではどこにも和室がなかったけれど2階に和室を造ろう、せっかくならより快適に押入れで睡眠できるようにいろいろ取り付けよう、とエスカレートする人もいます。
カプセルホテルみたいに中でテレビを観れるようにしたい、灯りもほしい、寝る前に歯を磨けるように洗面台もあると便利だ、なんならトイレも押入れの中に作っちゃえ、小型でいいから冷蔵庫を設置するスペースも確保しなきゃ、と分譲住宅ではまず実現不可能なほど充実した押入れに拘ることもできます。
予算次第では押入れの中にお風呂や書斎を詰め込むことすら出来ますし、こだわりの住宅を目指すのなら注文住宅に勝るものは有りません。
予算の配分
このようにお金をかけたい部分と抑えたい部分を組み合わせて決められた予算の中で完成させるのが注文住宅の正しい作り方で、「お金が余ってるから分譲住宅ではなく注文住宅にしよう」となるわけではありません。
どこに重点を置くか、どこを削るかを注文して自分だけの住宅を建築するのが注文住宅の本来あるべき姿なのです。
見えないここはそんなに立派で高価な資材を使わなくてもいい、でもお客さんの目の届くこの部分は1ランク上の資材でゴージャスにしてみよう、なんてことをとことん追求して見栄を張ることもできますし、見た目はシンプルでなんの変哲も無い普通の家に見えるけど実は物凄い設備を備えている、みんなには内緒だけど地下には銭湯も真っ青の大浴場がある、おまけに卓球台もある、なんて住宅を造ることもできます。
拘りたい部分には費用を多めに、抑えたい部分はランクを下げて、と予算の配分を考えて設計できるのも注文住宅ならではです。